2018/1/27

ハレルヤ森の物語 4上

4.小さな野ねずみたちのお話・上

 

 ハレルヤ森のはずれの広い野原に小さな野ねずみたちが木の実をくわえて走っていきます。小さな小川を飛び越えたり、丸太のトンネルをくぐり抜けたり、楽しそうに走っていきます。

 

 いきなりその中のねずみの一匹が「競走だ!」と言って、もうスピードで走り出しました。「待ってよ!マシュー!」他のねずみたちも後を追います。

 この先頭のねずみはマシュー。マシューはやんちゃでいつも面白い小ねずみです。

 

 

 「あっ!」マシューの木の実が小さな穴に落ちてしまいました。その穴はゴルフボール程の大きさで、ねずみも通れるくらいでした。中はすごく暗くて何も見えませんでした。

木の実はもうおしまいの季節です。今から見つけるのは大変です。

 「どれくらい深いんだろう…?」と別のねずみが言い、近くにあった石を投げてみると、ずっと落ちていきます。

「随分深いなぁ〜。」その時、石が1番下に落ちたようで、その後、ゴゴゴゴという音がなって、小さな地震の様なものが起きました。その途端、野ねずみたちが持っていた木の実が一斉に穴に落ちてしまいました。

 野ねずみたちは「この中どうなってるんだ?」「こわ〜い。」「木の実、まだあるかな?」と口々に言っています。

 

 みんなで話し合って、森へ行って木の実をもう一度探すことにしましたが、木の実は見つかりません。やっと1つ見つけたと思ってみると、中に虫がいるのやとても小さいのしか見つかりません。みんなが見つけた木の実を合わせると4つしかありませんでした。

 

 野ねずみたちは12匹いて、マシュー、ブレッド、ジンジャー、ハッピー、ラッキー、ハミング、ロッタ、シム、マルク、アリス、ミル、エルの12匹です。

 

「おなかがすいたー。」と1番小さいエルが言うと、家にあった残りの木の実を少し食べてから、12匹はみんなで穴の中にはいることに決めました。

  穴に入ってしばらく行くと、下り坂になってきました。そして、乾いた砂が石と混じって滑りやすくなっていました。野ねずみたちはザザーと滑り落ちて、ふわっとしたものの上に投げ出されました。

 

 よく見ると、それはなんと大きな猫でした。そこは広くお部屋のようになっていました。

猫は振り向いて野ねずみたちを見ました。逃げ出そうとしましたが、出口はねずみたちが落ちてきた坂道と猫がふさいでいる方向にある別の穴しかありません。

 ねずみたちがうろうろしていると「どうしたの?そんなに慌てなくてもいいじゃない。」ねずみたちは「えっ!」と言って振り返りました。

「私はねずみは食べないの。ところで何をしているの?」

「ぼくたち木の実を探しているんだ。この穴に全部落ちてしまったんだ。」

すると猫は「私、探すの手伝うわ。ちょうど退屈していたの。でもまずは、ゆっくり休んでお祈りしてからよ。」と言ってパンケーキを焼いてくれました。

みんなでパンケーキを食べながら、自己紹介をしました。猫の名前は<ホーリー>といって動物の町から来たそうです。ねずみたちは穴に投げた石のことを聞いてみると、「確かに石が落ちてきたわ。でも、そのまま、そこの大きい横穴に転がっていったわ。そして、なぜか地震があったの。」と言いました。

 野ねずみたちは、夜になるとホーリーの温かい背中にもたれて眠りました。

 

 

 朝になると一行は明かりと荷物を持って出発しました。

石が転がっていった方の大きい穴を進んで行きました。時々、ミミズやオケラが土壁から顔をのぞかせます。

 

 しばらくいくとトンネルのような土の中だというのに小さな光る花が咲いていました。その花にはどこから来たのか小さなミツバチがいました。そして、花の中には金色の蜜がたまっていました。みんなでその蜜をなめてみると、すごく甘くて美味しくて、疲れが吹き飛びました。花をよく見てみると花びらに『命の花』と書かれています。

  ホーリーは「これ写真でみたことあるわ!動物の町に住んでいた時、近くにいた鳩が『ぼく、ここに行きたいな〜。』て言って見せてくれた本の中にもこの花が咲いていたの。」

 ホーリーはそう言って、荷物の中から小さな瓶を取り出すと、その蜜と小さな花びら1枚を瓶の中に入れました。

 

 

一行はまた歩き始めました。歩き通しで疲れてきましたが、ちょうどあまり深くない洞穴のような場所を見つけました。みんなはそこで休むことにしました。

ジンジャーが持ってきたクッキーをみんなで食べて、そのまま皆、眠ってしまいました。

 

「起きてよ!起きてよ!」と言う声でマシューは目を覚ましました。起きてみると、ピンクの鼻をしたモグラが目の前にいて、マシューはびっくりしました。

いきなり、そのモグラはマシューの手を取ると歩き出しました。

みんなも起き出して、急いで支度して、モグラとマシューに追いつきました。

ラッキーがモグラに「きみはだれ?どこに行くつもりだい?」と聞きました。

モグラは「ぼくは<キー>。木の実を落としたのは、君たちだと思ったんだけど。」と言い、「そうだけど…。ぼくたち木の実を探しにきたんだ。何か知ってるの?」とラッキー。

モグラのキーは「あの木の実はアリの国泉の村に落ちてしまたんだよ。泉の村はいいとして、アリの国に落ちたなら、急がないと大変なことになるんだ。」と教えてくれました。

「どうして?」と聞くと、「アリの国のアリたちは、神様を賛美するのをやめて、アリの王様を神様としているんだ。軍隊アリが沢山いて、お城の近くに来た生き物たちを王様の奴隷にしているんだ。なにしろすごい数だからね。で、その木の実はお城の庭に落ちたんだ。でも、その木の実がないとみんな冬を越せないんだろう?だから、ぼくは手伝うんだ。」

 マシューが「なんでそんなことを知っているんだい?しかも、木の実がもうないってことまで…。」と言うと、キーは「それはぼくは沢山穴を掘っているからね。音ぐらい聞こえるよ。」と答えると又歩き出しました。

 

 

 しばらく歩いていくと、<アリの国>と書かれた大きな鉄の扉があって、その両隣に小さな(アリにとっては大きな)のぞき穴のようなものがあって、その扉には『合い言葉を言え!』と書かれた張り紙が貼ってありました。

「合い言葉だって!?」野ねずみたちは叫びました。

「ぼくたち、知らないよ。」とちびっこのエルが言うとみんなどうしようと考えてしまいました。

キーが「いちかばちかやってみるか!どっちにしろ木の実がないと….」と言い、

みんなしばらく考えていましたが、やってみることにしました。

 マシューは「『アリの合い言葉』でいいんじゃない?」というと、みんな一瞬「えっ?」という顔で見合いましたが、「『いちかばちか』やってみましょうよ!」とロッタが言い、「そうだ!そうだ!」とブレッドも賛成しました。

そして、ラッキーがそののぞき穴に向かって言いました。「アリの合い言葉ー!」

 

 すると、軍隊アリたちが出てきて、堅いツタでみんなを縛ってしまいました。

みんなはツタをちぎろうとしましたが、本当に強くて切れません。

 

 軍隊アリたちが誰かを呼びに行くのか、一度引き返した時に猫のホーリーが言いました。「こんな時、助けてくれる方がいるわ!」

ハミングがパチンと指をならし、「そうか、イエス様だ!」と言いました。

そして、みんなは話し合いました。

「戻ってきたら、みんなで『イエス様のお名前によって、私たちの神、イエス様が望んでおられることをしなさい!』って言ってやろうよ!」

という訳で一同はアリたちが戻ってくるのを待っていました。

 

 軍隊アリたちが戻ってくると、12匹の野ねずみと1匹の猫と1匹のモグラは

『イエス様のお名前によって、私たちの神、イエス様が望んでおられることをしなさい!』と声を張上げました。すると不思議なことに突然、軍隊アリたちは、畏れおののきながら、みんなのツタを切り始めました。

 

扉からは別のアリたちが出てきて、木の実を差し出し「この扉には合い言葉なんてないんです。この扉はのぞき穴から合図した限られたアリが通れるんです。」と言いました。

 

 こうしてアリの国では7つの木の実を取り戻しました。  (下に続く…)

 

マタイ7:7、8

求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。だれでも、求める者は受け、捜す者は見出し、たたく者には開かれます。

 

マタイ28:18

イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても地においても、すべての権威が与えられています。

 

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主よ 私たちの主よ

あなたの御名は全地にわたり  なんと力に満ちていることでしょう。

あなたのご威光は天でたたえられています。

幼子たち 乳飲み子たちの口を通して あなたは御力を打ち立てられました。

あなたに敵対する者に応えるため復讐する敵を鎮めるために。

      詩編8:1、2

 

 

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