2018/10/4

雲の上の物語 7

 7.空の旅のお話(続き)
 
 
「ねぇ、王様って?」
 
「知らないのか?この上には王国があって、
小さな国だけどワシの王様が平和に治めているんだ。
オレの母さんはそこで布を織る仕事をしているんだ。」
 
 ブラッキーは黒いけれど、とてもきれいな鳥でした。
つやつやした羽は、翼を動かすと黒光りします。
 
 しばらく飛ぶと、ウイングはもう肩が痛くなってきて
「少し休もうよ。」とブラッキーに言おうとしました。
 
 すると、「ほら、見えてきた。」とブラッキーが言いました。
目を凝らして良く見てみると、雲の上の町と同じように、
そこにも大きな雲の上に建物が沢山建っています。
 
 ウイングは雲の上の町の他にこういう町があるのを知らなかったので、
とてもびっくりしました。
 
 
 
 その町に着くと、ブラッキーのお母さんがいて
「よく来てくれたわね。自己紹介は後でいいから、
王様に合わせてあげるわ。」
と言って、お城に連れて行ってくれました。
 
 
 お城はすごくきれいで、沢山の鳥たちが庭や柱を飾りつけています。
「何があるんですか?」とウイングが聞くと、
「もうすぐイースターのお祝いがあるから、
その準備をしているんだよ。」
とブラッキーのお母さんが教えてくれました。
 
 
 大広間に着くと、ブラッキーのお母さんは、
王様に会ってもいいか門番に聞きにいきました。
 すると、3羽は王様がいるところに案内されました。
 
 王座には大きな宝石がはめ込まれています。
そしてそこには、大きな翼の優しくて強そうなワシの王様がいました。
 
「王様、これは私の息子です。」
「ブラッキーです。」
「ぼくはウイングと言います。
ブラッキーとはここへ来る途中で知り合いました。」
3羽は王様に丁寧に挨拶をしました。
 
「よく来た。ようこそわが王国へ。
せっかく来たからには、
イースターの祝いを楽しんでいったらどうだい?
先へは急ぐ旅ではないのだろう?」
ワシの王様は言われました。
 
「はい。よろこんで、参加いたします。」
3羽は答えました。
 
 王様は3羽にとても親切にしてくれ、
お城の色々なところを案内してくれました。
 
 
 
 そして、イースターのお祭りの日、
王国のみんなもウイングたちも、とても楽しみました。
王国を照らす光もひと際強く輝きました。
 
 さて、お祭りが終わり、
ウイングたちがリュックに詰める食料を分けてもらっていると
王様がやってきて言われました。
「これからの旅に役に立つものがあるから、取りにおいで。」
ウイングやブラッキーには何のことか分かりませんでしたが、
王様に着いて行くことにしました。
 
 
 
 王様は書斎に着くと、棚の中から厚い本を取り出しました。
「これは聖書だ。
本当の神様、そう、イースターでお祝いした
イエス様のことが書かれている。
私は常にこのイエス様に祈ってきたから、
この国を平和に治めることができているのだ。
道を教えてくれるから、持って行きなさい。」
と言って、王様は聖書を渡してくれました。
 
 
 
 ウイングとブラッキーは王様にお礼を言って、
王国から飛び立ち、又、どんどんと飛び続けました。
 
 しかし、とうとう道も方向も分からなくなってしまいました。
2羽で困っているとブラッキーがあることを思い出しました。
 
「そういえば王様がこの聖書が道を教えてくれるって行ってたよな。」
 
「うん。ぼくたちもお祈りしてみたらいいんじゃない?
お祈りしてみようよ。」ウイングが言いました。
 
2羽は心を合わせてお祈りしました。
『イエス様、今、ぼくたちに道を教えて下さい。』
 
 すると不思議なことに聖書が開いて、
中から金色の小鳥が出てきました。
2羽はとても驚きました。
 
「こんにちは。私はピースです。
平和の神様、全能の神様にお仕えしています。
よく聞いて下さい。
大いなるイエス様が雲に乗って来られます。
イエス様を信じ待ち望んでいたすべてのものが
天へと引き上げられるのです。
あなたがたもイエス様を信じて下さい。」
そう言うと、ピースと言う小鳥は聖書の中に戻りました。
 
「イエス様を信じればって言ったよね。」
 
「又、お祈りすればいいんじゃないか?」
 
2羽は又、心を合わせて、祈りました。
「イエス様、今、あなたを信じます。
どうか天国へ連れてってください。」
 
 
 お祈りが終わった途端、角笛の音が鳴り響きました。
すると、遠くの方から沢山の船が空中を進んできました。
その中の一隻がウイングたちの横に止まりました。
その船には天使達と優しそうな男の人が乗っていました。
ウイングたちにはそのお方がイエス様であることがすぐに分かりました。
 
 イエス様は優しく2羽を船の中に入れると
「よく来たね。」と声をかけてくれました。
 
 船はもっと下に降りていきました。
すると、次々に沢山のイエス様を信じた人々や
ハレルヤ森や緑のまきば、人間の町の動物たちも
船の中に引き上げられていきます。
 
猫のホーリーや雲の上の町のウイングの友だちも乗っていました。
 
 そして、船は光り輝く天国へ向かっていきました。
 
 
 
 天国は、それはもう素晴しいところでした。
イエス様の御座やみんなのお家もあって、
きれいな自然や進んだ技術もありました。
神様の栄光が輝いていて、あたたかい愛、喜びと平安が満ちあふれて、
美しい賛美がずっとずっと流れ続けて…止みません…
 
 ハレルヤ♪ ハレルヤ♪ ハレルヤ♪
 
 
 
           (おわり)
 
 

テサロニケ人への手紙 第一4:16、17  

すなわち、号令と御使いのかしらの声と神のラッパの響きとともに、主ご自身が天から下って来られます。そしてまず、キリストにある死者がよみがえり、それから、生き残っている私たちが、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられ、空中で主と会うのです。こうして私たちは、いつまでも主とともにいることになります。

 

ヨハネの黙示録21:23

都には、これを照らす太陽も月も必要としない。神の栄光が都を照らし、子羊が都の明かりだからである。

 

黙示録21:3〜4

私はまた、大きな声が御座から出て、こう言うのを聞いた。「見よ、神の幕屋が人々ともにある。神は人々とともに住み、人々は神の民となる。神ご自身が彼らの神として、ともにおられる。神は彼らの目から涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、悲しみも、叫び声も、苦しみもない。以前のものが過ぎ去ったからである。」 

 

 

   ふりがな付き

 

 

 

 
 
 
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主よ 私たちの主よ

あなたの御名は全地にわたり  なんと力に満ちていることでしょう。

あなたのご威光は天でたたえられています。

幼子たち 乳飲み子たちの口を通して あなたは御力を打ち立てられました。

あなたに敵対する者に応えるため復讐する敵を鎮めるために。

      詩編8:1、2

 

 

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